Backyard Ultra Last Samurai Standing 2021 上野村 参戦記

群馬県上野村で開催されたBackyard Ultra Last Samurai Standing 2021に参加しました。結果は36時間(約241キロ)でリタイア。今回はその参戦記です。

2020年11月、群馬県上野村で開催されたバックヤードウルトラの大会「Backyard Ultra Last Samurai Standing 2021 上野村」。私自身としては4回目のバックヤードウルトラでした。

バックヤードウルトラ

一緒に走ったゼッケン一緒に走ったゼッケン

バックヤードウルトラは他のどんなマラソンとも異なるウルトラマラソンです。ルールは、1時間に6.7キロを走り、何時間続けられるのかを競います。走れなくなったら終了(リタイア)。最後の1人が完走者となる、サバイバルマラソンです。
日本では2020年から開催されていて、今回のバックヤードウルトラは、全国5ヶ所で同時開催。私の参加した群馬県上野村は、全舗装路で累積標高も少ない、記録の狙える会場でした。1周3.3キロのコースを毎時間2周します。これを延々と。。。

レース

ゆっくりと走り出す猛者たちゆっくりと走り出す猛者たち

4度目なのでレース展開はある程度わかっていました。今回は、アドベンチャーレース仲間のまめさん(@mame.32 )にサポートをお願いして万全の体制。まめさんは、1回目のバックヤードウルトラのときにもサポートしてもらっていたので、今回もとても心強く、完璧なサポートでした。

11/20 15:00にスタート。スタートから50mは歩き、位置取りは常に後方を心がけました。これは、長丁場のレースなので、ペースを抑えるため。気持ち良いペースで走りたくなる気持ちをグッとこらえます。歩けるところは歩き、体力と足への負担を減らします。「いよいよレースがはじまった!」

10時間67キロ、足に少しずつ疲労を感じます。休憩中に足が固まり、走り出しが重い。足がほぐれるまで、約1キロかかる感じでした。しかし、まだまだ走れます。「ペースを上げたくなるけど、抑えて抑えて」

15時間100キロ、節目となる距離ですが、目標に向けた通過点なので淡々と走ります。「まだまだこれから、足にダメージを与えないよう走ろう」

24時間160キロ(100マイル)、スタートから丸1日が経過。ここまでは序盤、これからレース開始。だからといって、ペースは変わりません。「ここからいよいよバックヤードウルトラがはじまる」

30時間200キロ、私にとっての節目の距離。ここまで、しっかりとペースを抑え、補給もたくさん取れていたので、とても順調で、まだまだ走れました。「まだまだ走るぞ!気持ちで負けない」

しかし、30時間を超えたあたりから変化が。走っていてもペースが上がりません。体感的には1キロ6分30秒でも実際には7分ペース。そのため、今まで歩いていた区間を走ることになってきました。歩くことで温存していた体力の消耗が早くなり、体感的運動強度が増してきます。すると、今度は胃腸の具合が徐々に悪くなってきました。食欲もなくなり、補給も少なくなります。「足は痛いし、眠い、だけど1歩1歩前進だ」

34時間、ついに胃腸が悲鳴をあげ、途中で立ち止まり、戻してしまいました。立ち止まるとそこでレース終了なので、それでも走って前進し、周回を重ねていきます。その後、35,36時間と走り、持ち直したかと感じました。「戻してしまったが、まだいける!」

37時間目の周回。スタートから1キロ、再び戻してしまい、心が折れて走れなくなってしまいました。「さっきまで走れていたのに、なぜ足が前に出ないんだ。。。」その後は、歩いて進み、スタート地点に戻ったところでリタイアを申告、DNFとなりました。

こうして私のバックヤードウルトラ上野村は終わりました。36時間走りつづけたことは、私にとって大きな進歩で、新たな自信に繋がります!今回の経験をこれから活かして、次の挑戦に向けて頑張ります!!
参加するにあたって何を心掛けたのかを3つ紹介します。紹介する内容は、マラソンをするにあたっても何か気付きがあるかもしれません。

心掛けたこと

バックヤードウルトラへ参加するにあたって心掛けたことは以下の3点です。
1.ペースを上げない
2.食べ続ける
3.大きな目標を決めない

1.ペースを上げない

ランニングすると気持ちいいペースで走りたくなります。しかし、バックヤードウルトラはとても長丁場のレースなので、なるべく疲労を溜めないように走ることが重要です。ペースを上げず、疲労をためないよう心掛けました。しかし、30時間を超えてから、速く走ってしまった周回もあったため、リタイアの時間を早めてしまったかもしれません。。。反省💦

2.食べ続ける

長距離を走るため、エネルギー補給は欠かせません。エネルギーを枯渇させないために、食べ続けることも心掛けました。スタートから6時間くらいは、何も食べなくても正直走れます。しかし、それをしてしまうと、その後のエネルギー切れによる失速があります。そのため、最初の周回の休憩から積極的に食べました。カップラーメン、そうめん、お餅、フルーツ、経口補水液などなど。ジェルとかではなく、普通の食べ物を食べました。それでも途中でお腹が空いた周回があり、休憩で大量に食べたら、次の周回においてものすごい睡魔に襲われた失敗もありました。。。

3.大きな目標を決めない

PBでました新幹線でいえば東京~浜松くらい走りました

普通のマラソンであれば、必ずゴールがあります。だいたいはそのゴールを基準に目標を設定したりすると思います。しかし、バックヤードウルトラには明確なゴールが設定されていません。より長く走るためには、大きな目標を決めないことが実は大切だったりします。例えば、15時間(100キロ)を目標として走ったとします。そして15時間を無事に超えたとします。するとどうなるかというと、目標を達成した安堵感からなのか走る気力がなくなったり、痛みが顕著に出たりして、リタイアする可能性が高まってしまうんです。「100キロを超えたら100マイル(160キロ)を目標に走ればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、目標の上方修正は、とても難しいです。100キロ走ったことで「100キロ走れたから、もういいかな」って少なからず思ってしまうんです。ここから、さらに60キロ先を目標にするのは本当に難しい。そのため、私はより長く限界近くまで走りたかったので、こういった目標を立てず、目の前の周回に集中するよう心掛けました。

私は大きく上記の3つを心掛けて走っていました。とくに3つ目は、かなり特殊で、バックヤードウルトラならではの心掛けです。しかし、参加した人なら絶対に「あー、そうそう」って共感してくれるかと思います。

もし、今後バックヤードウルトラに参加したい方がいれば、少し役に立つかもしれません。また、ウルトラマラソンに参加する方には1,2あたりは役立つかもしれません。ウルトラマラソンは長丁場のレースなので、食べながらマイペースに進むのが大切なんです。

飲食したもの

持って行った食料持って行った食料

今回食べたり飲んだりしたもの以下に紹介します。数字は摂った回数です。

飲食物 回数
温かい経口補水液 15
リンゴ 11
板ガム 11
レッドブル 8
消化酵素 7
ポテトチップス 6
バナナ 4
そうめん茶漬け 3
ミニうどん 3
ミニカップラーメン 3
メガシャキ 3
イモ 2
ガシンサン 2
キャラメル 2
クリミール 2
グルタミン 2
コーラグミ 2
ジンジン 2
プリン 2
みかん缶 2
リッツ 2
塩熱サプリ 2
半ごはんお茶漬け 2
オールレーズン 1
おにぎり 1
お湯 1
カレーメシ 1
コーヒー 1
コーラ 1
ジンジャーシロップお湯割り 1
チキンラーメン 1
チリトマトラーメン 1
パン1 1
フルーツ缶 1
フルーツ缶シロップ 1
ミニそば 1
ミニチキンラーメン 1
ミニチリトマトラーメン 1
ミニどん兵衛 1
もちスープ 1
もち入りコンソメスープ 1
もち入りトマトスープ 1
ももゼリーミニ 1
レーズンパン+マヨネーズ 1
塩タブ 1
黒糖 1
酸素缶 1
薄皮パン 1
1

使ってよかったもの

今回のバックヤードウルトラで使ってよかったものを2つあげます。

ガーニーグー

噂のガーニーグー

これは擦れ防止クリームです。足のマメ、股ズレなど摩擦による怪我を防止する効果があります。私はウルトラマラソンやアドベンチャーレースに参加する際には毎回必ず使用しています。今回もガーニーグーを使用したため、マメや股ズレはなく、走ることに集中することができました。

マッサージガン

マッサージガンは強烈な振動で身体をほぐしていく機器です。バックヤードウルトラにおいてその効果は絶大で、過去にバックヤードウルトラに参加したことがある選手のほとんどが利用しています。レースで張りを感じた部位をマッサージガンで休憩中にほぐすことでさらに走ることができます。サポートを付けず1人で参加する選手には必需品です。

私が使用したマッサージガン

本州縦断のときもマッサージガンを持参していて、ずっとザックに入れていました。小型でUSB-Cで充電できるので携帯に便利です。

 レース中記録

サポートのまめさんがレース中に飲食したもの、レース中の私の状況を毎周回記録してくれました。その記録が以下の表になります。

周回 スタート 距離 LAP TIME 飲食物 メモ
1 15:00 6.7 46’35 バナナ 1/3
ポテトチップス
オールレーズン 1
クリミール
塩タブ
お湯
スタート前
お湯(ひと口)
2 16:00 13.4 50’15 ポテトチップス
バナナ 1/3
黒糖
板ガム
温かい経口補水液
トイレ
3 17:00 20.1 47’43 リッツ 4枚
ミニカップラーメン
グルタミン
消化酵素
温かい経口補水液
トイレ
4 18:00 26.8 47’24 もちスープ(もちなし)
リッツ
塩熱サプリ
温かい経口補水液
トイレ(グローブ忘れ)
マッサージガン(ふくらはぎ)
5 19:00 33.5 47’18 もち入りトマトスープ
キャラメル
温かい経口補水液
トイレ
マッサージガン(ふくらはぎ)
タイツ履き替え
6 20:00 40.2 46’38 もち入りコンソメスープ
ポテトチップス
温かい経口補水液
トイレ
車で横になる
マッサージガン(ふくらはぎ)
左脚膝裏痛み マッサージ
7 21:00 46.9 46’50 ミニカップラーメン(カレー)
塩熱サプリ
キャラメル
トイレ
車で横になる
マッサージ(足裏、ふくらはぎ)
8 22:00 53.6 47’08 薄皮パン
温かい経口補水液
トイレ
ライト電池切れ 交換
マッサージガン(内もも)
マッサージ(足裏、ふくらはぎ)
9 23:00 60.4 46’54 そうめん茶漬け
板ガム
マッサージガン(左ハムストリング、内もも)
マッサージ(足裏、ふくらはぎ)
眠くなってきた
10 0:00 67.1 46’19 チキンラーメン
リンゴ
板ガム
トイレ
右足首に違和感 マッサージ
あたたまるまでの最初の10分がきつい
11 1:00 73.8 46’21 半ごはんお茶漬け
リンゴ
板ガム
温かい経口補水液
トイレ
マッサージ
どうしても早くなってしまう
12 2:00 80.5 46’02 ミニうどん
板ガム
温かい経口補水液
トイレ
ガーニーグー
マッサージガン(内もも)
13 3:00 87.2 46’56 半ごはんお茶漬け
温かい経口補水液
トイレ
マッサージ
マッサージガン
14 4:00 93.9 42’38 ミニうどん
ポテトチップス
板ガム
温かい経口補水
レッドブル
ガムを忘れて眠い
マッサージ
マッサージガン
とばしすぎ(走れる)
15 5:00 100.6 45’23 カレーメシ 2/3
クリミール
板ガム
温かい経口補水
レッドブル
100km超
マッサージ
マッサージガン
ライト電池切れ
16 6:00 107.3 45’07 ミニそば
リンゴ
みかん缶(ひと口)
レッドブル
温かい経口補水
ウッチーさん応援
マッサージ
マッサージガン
17 7:00 114.0 44’22 そうめん茶漬け
レッドブル
板ガム
あすか来る
歯みがきTime
18 8:00 120.7 47’40 ミニカレーヌードル
レッドブル
プリン
リンゴ
消化酵素
温かい経口補水
大澤さんのYouTubeを聴きながら走る
19 9:00 127.4 46’11 ミニうどん
リンゴ
温かい経口補水
レッドブル
消化酵素
走りはじめ…「足痛い」
よくしゃべる
服を変身
20 10:00 134.1 45’51 パン1
リンゴ
バナナ
みかん缶(ひと口)
温かい経口補水
レッドブル
消化酵素
トイレ
21 11:00 140.8 47’25 ミニどん兵衛
コーラグミ 1
フルーツ缶
消化酵素
トイレ
股関節痛
22 12:00 147.5 45’46 ミニチキンラーメン
コーラ
ポテトチップス
トイレ
股関節痛
23 13:00 154.2 46’10 リンゴ
ポテトチップス 3
コーラグミ 1
トイレ
24 14:00 160.9   リンゴ
バナナ 1/3
ももゼリーミニ
調子があがってきた
何人かDNF
25 15:00 167.7 45’54 ミニチリトマトラーメン
グルタミン
 
26 16:00 174.4     お車改装 増築
27 17:00 181.1 48’56 チリトマトラーメン(残り)
板ガム
消化酵素
あすか帰宅
ライト使用
28 18:00 187.8 47’24 おにぎり 1
レッドブル
プリン
トイレ
次から寝る予定
29 19:00 194.5 48’28 リンゴ
少し気持ち悪くなりそう
30 20:00 201.2 45’53 そうめん茶漬け
フルーツ缶シロップ
メガシャキ
板ガム
消化酵素
眠い
食べすぎた
ペース速すぎ
31 21:00 207.9 50’57 メガシャキ
イモ
板ガム
ジンジン(生姜あめ)
眠い
吐きそう
32 22:00 214.6 47’26 リンゴ
ガシンサン
眠くなるので糖質とりたくない
倉井さんと並走でいい感じ
33 23:00 221.3 40’XX リンゴ 眠くて飛ばした!!
34 0:00 228.0 48’50 メガシャキ
ガシンサン
コーヒー(微糖)
ライトの電池1周目で切れて
倉井さんと並走
35 1:00 234.7 49’15 イモ
レーズンパン+マヨネーズ
酸素缶
ジンジン(生姜あめ) NG
吐いた
ライトチェンジ
脚に余裕なし
他の人も眠くてフラフラ
36 2:00 241.4 50’53 ジンジャーシロップお湯割り  
37 3:00     1周30分オーバー DNF 吐いた

上記の表をPDFファイルをダウンロードできます。こちらから。

猛者たち

ラスト2 左:倉井選手 右:芝脇選手

最後に今回のバックヤードウルトラ上野村には多くのウルトラ猛者が参加していました。その中でも最後に残った2人の選手が群を抜いて強かったです。その選手は倉井さんと芝脇さん。倉井さんは、本州縦断1550キロを2位で終えた超ウルトラマラソンでは相当な実力派、しかも履いているのはそのあたりの量販店で売っているサンダルです。芝脇さんは、今回のバックヤードウルトラではズームフライ3を履いていて、ほとんどの周回が40分以下という驚異的なスピードで走られていました。

大会本部におかれたラスト2の周回チェック用バンド

この2人が最後に残ったのですが、その戦いは45時間(約300km)で終わりました。300km走っても両者まだまだ走れる体力があったのですが、300kmを走り終えて戻ってきたときに2人ともリタイアを申し出て大会終了となりました。2人とも「もう永遠に終わらないよ」とのこと。そして上野村のバックヤードウルトラは勝者なしという結末となりました。

Instagram

バックヤードウルトラに関する内容をインスタグラムにも投稿しています。

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